私は抗がん剤の治療の前に卵子凍結をやりました。
今回は、なぜ卵子凍結をやることにしたのかを書きます。
妊孕性温存って何？という方は、こちらの記事を見てください。
がんの治療のなかで 「妊孕性温存（にんようせいおんぞん）」 というもの勧められたので、産婦人科に話を聞きに行ってきました...
妊孕性温存をするデメリット
まずは、妊孕性温存ってどれくらい大変かって話から。
乳がんの治療の開始が遅れる
卵子凍結は、絶対に抗がん剤治療の前に終わらせなければなりません。
私の病院では、卵子凍結にはだいたい2週間かかると言われました。
実際にかかった期間もちょうど2週間でした。
もちろん、乳がんを見ている乳腺外科の先生がOKを出した期間ではあります。
しかし、それだけ治療が進められない期間が発生する、というのは事実です。
その間の乳がんの進行が気になる人も多いと思います。
もちろん、乳がんの状態によっては、妊孕性温存のために治療を遅らせられない場合もあります。
エストロゲン増加のリスク
卵子凍結に向けては、卵巣で複数の卵子を一度に育てます。
通常、一度にひとつの卵子だけが育つのですが、複数育てた場合、ひとつの時と比べるとエストロゲンの分泌が増えると言われています。
服薬によって多少分泌量を抑えることはできますが、完全に抑えることはできません。
乳がんの発生にはいろんな原因がありますが、女性ホルモンの影響をうけて発生する乳がんも存在します。
そのため、卵子を複数育てることによるエストロゲンの増加が、乳がんに対して悪影響を及ぼす可能性は否定できません。
ただし、卵子凍結自体が比較的新しい治療であるため、関連性があると断定できるデータはまだ存在しません。
「可能性が無くはないけど、よくわからない」といった状況。
このリスクを考慮して、妊孕性温存をしないと決める人もいます。
費用がかかる
卵子凍結は保険適用外です。
乳がんの治療に付随する妊孕性温存のものであっても、不妊治療のものであってもです。
全額自己負担であり、病院や患者さんの状態によってかかる金額は様々。
気になる人は調べてみてください。
自分がいくらかかったかは公開しませんが、10万円では全然済まないです。
かなりダメージを受ける金額でした。
時間がかかる
私の場合は、卵巣を刺激する注射を打つために、毎日通院していました。
注射自体はすぐに終わるのですが、診療時間内に通うだけでも結構大変。
仕事を早退して行ってました。
自宅で自分で注射をする「自己注射」という方法もあります。
この場合は通院の時間は取られませんが、費用が追加で発生します。
また、病院で内診や採血で身体の状態を確認する場合、半日程度かかります。
採卵が近くなってくると、この検査のペースも上がります。
採卵の日は、事後の腹痛も含めて1日もっていかれると思ってください。
働きながら卵子凍結をする場合は、職場との調整が必須になってきます。
痛い
これは決断の時のハードルというより、やってみての感想ですが、だいたい痛い。
毎日の注射も、毎回痛い。
二の腕も痛いけど、肩に刺された方がもっと痛い。
採卵も、刺されたりぐりぐりされたり、かなり痛い。
我慢はできるけど、もうやりたくないくらいには痛い。
採卵のあともお腹が鈍痛に襲われる。
けっこうヘビーな戦いでした。
なぜ妊孕性温存をすることにしたのか
これだけ大変だと分かっていながら（痛みについてはさておき）、なぜ妊孕性温存をやると決断したのか。
妊孕性温存は、将来の自分に妊娠できる可能性を残すのが目的です。
もし癌の治療が終わった後、自然妊娠が難しい身体になっていたとしたら。
妊孕性温存をしていれば、人工授精によって子供を持てる可能性を残すことができます。
私は現在パートナーがいます。
彼とは長く一緒にいたいと思っていますが、結婚や子供を持つことは今のところ考えていません。
でも、彼との間に子供が欲しいと思うときが来るかもしれない。
あるいは、今のパートナーとお別れをして、他の人とお付き合いをして、その人との間に子供が欲しいと思うときが来るかもしれない。
いずれにせよ、今卵子凍結をしないという選択をしたら発生する後悔だけはしたくないと思ったんです。
卵子凍結をして、それでも子どもには結びつけられないかもしれません。
でも、やれることはやった、と思えるかどうかは、大きな違いになると思うんです。
実際これだけ大変な思いをして、でも怒涛の勢いでこなしていったけれど、将来に可能性を残せたという安心感と達成感は大きいです。
これで、抗がん剤治療に臨めるぞ、という気持ちにもなれました。
本当にやって良かったと思っています。
いろんな選択があって良いと思うので、あくまで一例として。
私の思いでした。
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